Sin
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シュンシュンとお湯が沸く音。

温かい毛布と冷たいタオル。

ずきずきと痛む体。

目を覚ましたシンはぼんやりと周りを見回した。

「気付いたか?」

ジャックより低い声。太い指の大きな手が額のタオルを替えてくれる。

誰? そしてここはどこ?

シンは腫れた瞼を開けられるだけあけて男の人を見た。

「八百屋、の……?」

「見えるか? かなり酷い怪我だが」

シンは小さく頷く。店主は彼の額の傷に薬を塗り、そっとガーゼを当ててくれた。

どうして俺、八百屋のおじさんのとこにいるんだろう。

確か母さんを追いかけて、そして……。

「お前が買い物を落としたままなかなか帰って来ないから心配になってな。雨も降ってきたしと探しに行ったらこんな……」

店主は痛々しいシンの姿を見て悲しそうに目を細めた。


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