Sin
愛してくれない血の繋がった母親と、愛してくれる血の繋がらない父親。

この人は赤の他人。だけど、誰よりも信頼出来る人。誰よりも自分を愛してくれている人。

ぎゅ、とシンはジャックの首に抱きついた。

傷付いた彼が選んだのは、幸せだった林檎の思い出ではなく、そばにいて抱きしめてくれる信頼出来る人の温かい腕だった。

「……ジャック、と……一緒、がいい」

ジャックはシンをもう一度抱きしめる。

「シン! お願いだよ、出て来ておくれ! 母さん、お前の事」

ジャックの目に深い怒りが浮かぶ。自分を抑えるために深呼吸し、不安そうなシンを見つめて言った。

「母さんと話してくる。シンはここにいなさい。絶対に出て来ちゃ駄目だ」

こくんと頷き、シンはソファーの隅で小さくなった。

「もう、大丈夫だからな」

ジャックが護ってくれる。安心感からか涙が止まらなくなった。


ゆっくり、ジャックは扉を開けた。見知らぬ男性の冷たい視線にうろたえた母親は一歩下がる。

「少し話しませんか。……少しと言っても言いたい事は山ほどありますが」


< 220 / 331 >

この作品をシェア

pagetop