Sin
「で? 相談って何だ?」

よいしょ、と掛け声つきで店先にある木箱に座り、店主はシンに尋ねる。

「あのさ、寝不足に効く薬知らない? ジャック、まだ寝不足みたいで元気ないんだ」

シンは木箱の隅にちょこんと座り、真剣な表情で聞いた。

「だから良い薬無いかなと思って」

一瞬の間の後、吹き出す店主。

「笑わないでよ、真面目なんだからさ」

「悪い悪い」

膨れているシンの頭をぽんぽんと撫でながら店主は答えた。

「栄養のあるもの食べさせて、ゆっくり休ませれば治るさ」

「それだけ? 薬は飲まなくていいの?」

「ああ大丈夫だ。それにこの間病院に行った時、他に悪いところ無いって言われてたからな」

よかった、と心底安心したようにシンは息をつく。

「なに、シンが元気でいれば先生もすぐに元気になるさ」

「じゃあもうすぐ良くなるね。俺、もうほとんど怪我治ったから」

シンは嬉しそうに微笑み、足をぷらぷらと揺らす。

その様子を見ていた花屋のおばあさんは、不意にラジオのボリュームを上げた。


< 248 / 331 >

この作品をシェア

pagetop