Sin
政府が強制退去させるべく、ルージャの人々の集落に警備隊を向かわせた事を受け、都心で大規模なデモが起きたというニュースを、アナウンサーが滑舌良く淡々と読み上げている。

「嫌だねぇ、不法移民のくせに自分達の権利とやらに固執する輩は」

おばあさんは店先に並んだ鉢花に水をやりながら厭味たらしく言った。

「怖いねぇ。この辺でもそのうちデモが起きるかもねぇ」

シンの方をちらりと見る目は挑発するようにいやらしく。

むっとした店主が何か言いかけた時、シンは木箱からぽんと降りておばあさんに近付いた。

「心配いらないよ、おばさん! そうなったら俺、真っ先におばさんの事守ってやるからさ」

意表を突かれて一瞬うろたえたおばあさんに、にこ、とシンは笑いかける。

「おばあさんの瞳、よく見たら青いんだね。母さんと同じだ」


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