Sin
覚えるのが苦手なアルファベットを一つ一つ読み上げながら書いていく。

ジャックが帰ってきたら、覚えたどうかテストされるから頑張らなくちゃ。シンはドリルを開き、次の単語をノートに書き写す。

よし、と鉛筆を握り直した時、カタンと郵便受けに何かが届いた。

シンはカレンダーを見る。20日、月曜日。

もしかして、とシンは郵便物を取りに立ち上がった。

「……やっぱり」

ジャックが毎回捨てている恐らく家族からの手紙。毎月20日前後に必ず届く。

一体誰なんだろう。多分女の人の名前だし、お母さんからなのかな。まあ、従姉妹とか叔母さんって可能性もあるけど。

『……良い人だったと思うよ』

部屋には誰も居ないのに、シンはキョロキョロと辺りを確認した。

そして封筒をケトルの湯気に当て、ゆっくり封を開く。

どうせジャックは読まないで捨てるから。ちゃんと元通り封をしておけば、ばれないだろう。

それに知りたくても、ジャックに聞いた所で話してくれないし。笑顔で話を逸らすし。

だから、この一通だけ。

胸をチクチクと刺す罪悪感より、ジャックの事を知りたい気持ちの方が勝利し、シンは白い便箋を恐々と開いた。


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