Sin
流れるような筆跡を辿る速度は次第に遅くなり、シンの眉間にしわが寄る。

「……こんなぐちゃぐちゃな字じゃ読めないだろ」

相当急いでたのか、それとも元々字が下手なのか。

かなり達筆な手紙をなんとか解読しようと、シンは辞書を片手に奮闘した。

どうしても知りたかった。なぜ、ジャックはこの手紙を読まないんだろう。


昼食の時間を過ぎお腹がぐぅぐぅと鳴き始める頃、シンは鉛筆を置いて伸びをした。

書いてある事全部は分からなかったが、単語を繋げて何とか読み切った。

そして分かったのは、この手紙を書いているのはジャックの母親だという事。

過去に“何か”があって、ジャックが両親を恨んでいる事。

母親がジャックを心配している事。

「許す、しない、良い。ただ、元気で生活出来ている……か、教えて欲しい」

つまり、許さなくていいから元気かどうか教えてくれって事か。

シンは大きく息をつき、続きの言葉を読み上げた。

「“はい”か“いいえ”か、たった一言で構わないから」


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