Sin
その言葉を聞いて、鋭い痛みが体中を走り抜けた。一瞬、息が止まるほどに。

『愛せないのも辛いんだ』

目を見開いてシンをまじまじと見つめるジャックは明らかに動揺していた。軽く握った手がテーブルの上で震えている。

「俺、今なら分かる。愛してくれない親を好きでいるのも辛いけど、憎むのも同じくらい辛いんだ」

ふっと目を伏せたジャック。彼が珍しく見せた戸惑うような表情を見つめたまま、シンはぽつりと呟いた。

「それにもしかしたら、母さんみたいに自分の子どもを何かの理由で愛せないのも、同じくらい辛いのかも知れない」

そう言ってシンはテーブルに視線を落とす。もう温もりの無い空っぽのコップを両手でそっと握った。

『母さん……苦しそうに泣いてた』

きゅ、と唇を噛む。

そう聞いて微かに喜びを感じた自分は意地が悪いのだろうか。

どんなに求めても愛してくれないのなら、せめて愛せない事を苦しんで欲しいと願う自分は心の汚い人間なのだろうか。


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