Sin
「自分でも思う。俺、バカだなって」

シンは少しとろんとしてきた灰色の瞳でジャックを見上げた。

「いっぱい叩かれたし、首も絞められたし。死ねって言われたし、生まなきゃよかったって言われたし。好きでいる理由なんて一つも無いのに、さ」

なのに。

シンは言葉を止め、寂しそうに微笑む。

「嫌いになれたらいいのに、なんでか嫌いになれないんだ。もう母さんに会いたいとは思わないけど、どうしてるかなって時々思い出す」

ジャックは複雑な笑みを浮かべ、話し続けるシンの言葉を黙って聞いていた。

「愛して欲しいのに愛してくれなくて。抱きしめて欲しかったのに叩かれて。辛くて、悲しくて、いっそ憎めたら楽になるのにってずっと思ってた」

『いっそ憎めたら』。ジャックの胸がギシ、と軋んだ音をたてる。

「でも……でもさ、ジャックから母さんの話聞いてなんか分かったよ。愛されたいのに愛してもらえないのはすごく辛いけど、」

シンはジャックをじっと見つめ、続けた。

「愛したいのに愛せないのもきっと、辛いんだ」


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