Sin
ほんとありがと、と礼を言うシンにジャックは静かに微笑んだ。

ああ、またあの辛そうな笑い方だ。シンは心の中で呟く。

ジャックが時々見せるどこと無く不自然な笑顔。泣きそうにも笑ってるようにも見える曖昧な表情。

一体何を言ったら良いか分からなくて。どうしたら良いか分からなくて。意味もなく寂しくて泣きたくなって。

不意に我が儘を言いたくなる。

「眠い」

「酔ったな、シン」

テーブルに伏せったシンの頭をぽんと撫で、ジャックは立ち上がった。

「ちゃんと歩けるか?」

「そんなになるまで飲んでないって」

シンはへへ、と笑い椅子から下りた。眠そうに何度も目をしばたたかせる。

「また八百屋のおじさんに『十の子どもの言う台詞じゃない』って言われちゃうな」

「そんな台詞言ったのか」

「攻撃は最大の防御だって」

「……確かに十の子どもが言う台詞じゃないな」


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