Sin
奪われた幸せと真犯人
《Chapter 15
  奪われた幸せと真犯人》



街を吹き抜ける風は月日の流れと共に温もりを取り戻し、新しい季節へと景色を変えていく。

陽気な太陽の笑顔に誘われて、地面から新しい緑色が顔を出す。

林檎の木は蕾を膨らませ、白、黄、藤色のビオラは華やかに花壇を彩る。

新しい命が芽生える季節。冬の間寂しく見えた街並を明るくする草花の鮮やかな色に、自然と心が浮き立つ。


そんな春のある日。

「ジャーック!! ちょっと、起きろよ!」

最近やけに早起きなシンが、突然大きな声でベッドで寝ているジャックを呼んだ。

「……あと少し」

寝かせて、と毛布に潜り込むジャックをたたき起こし、シンは牛乳パックで作った鉢植えを眠そうな目の前に突き出す。

「な、見ろよ! りんちゃん、芽が出た!」

ほらほら、とシンは嬉しそうに小さな新芽を指差した。

先月、シンは自分で林檎を育てたいと言いこの鉢植えを作った。

『りんちゃん』と名前をつけ、早く芽を出さないかと毎日声をかけていた。その成果か。

「お、本当だ。成功したな、シン」

「うん! めっちゃ嬉しい!」

大きくなれよ、と『りんちゃん』に話しかけるシン。

得意そうな彼の頭をぽんと撫で、ジャックは朝食を作るために起き上がった。


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