Sin




「ウェイド先生、ちょっとお話が」

同じ頃、仕事から帰ろうとしたジャックを施設長が呼び止めた。

「心配しすぎと笑われるかもしれませんがちょっと気になったので」

「何でしょう」

ジャックは穏やかに問う。施設長は短く言葉に迷った後、話し出した。

「例の……ルージャ移民排除の議案の事、ご存知ですか」

「ええ。恐らく可決されるだろうと聞きました」

理不尽な事ですね、と小さく吐き捨てる。

「私が心配なのは議案の可決ではなく、それが発端で起きている一連の事件なんです」

「事件?」

怪訝そうに聞き返すジャックに施設長は頷いた。

「最近、都心でルージャの人間ばかりを狙った通り魔事件が起きているらしいんです」


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