Sin




「うわ、真っ暗だ。ちょっと遅くなっちゃったな」

シンは暗い道を一人歩きながら、大切そうに紙袋を抱きしめた。

ジャック、喜んでくれるかな。プレゼントを渡した時のジャックの反応をあれこれ考えていると浮き浮きした気持ちになる。

明日はちゃんと言えるような気がする。メッセージにも書いたけれど、自分の口で伝えたい。

「急がなきゃ」

早く帰ろう。ジャックが帰ってくる前に。

紙袋をズボンのポケットにしまい、シンは早足で角を曲がった。

「おい」

不意に誰かに呼び止められ、シンは振り向いた。黒い人影。ジャックと同じくらいの背の高さ。低い声。

空に月は無く、街灯は切れたまま。辺りは深い暗闇に飲み込まれている。

そのせいで、自分を呼び止めた人物がどんな人かをすぐに把握出来なかった。

「誰?」

そう尋ねた瞬間、シンは人影に肩を掴まれ、乱暴に引き寄せられた。

顔を見る隙もなく、左腹に熱い痛みが食い込む。


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