Sin
――林檎の花が満開だった、約一年前のあの日。
シンはぎりぎりの所で一命を取り留めた。
「手術は成功しました」
手術室から出て来たのはシンを受け入れてくれた医師では無く、背が高い金髪の男性だった。
鋭さを感じさせる切れ長の目は穏やかな声と対象的。瑠璃に似た深い青色の瞳はシンの母親を思い出させる。
成功、と聞いて胸を撫で下ろした店主から礼を言うジャックに視線を移し、彼は続ける。
「成功イコール助かるという事ではありません。回復するまで彼の体力が持つか分かりませんし、いつ容態が急変してもおかしくない状態です」
はい、とジャックは小さく頷く。助かる見込みはほとんど無いと言われていたのだ、最悪の事態も覚悟している。
それでもやはり、微かに見えた希望の光を信じたい気持ちは強かった。
「はっきりお伝えしておきますが、一命を取り留めても恐らく……いや、確実に障害が遺ります」
障害、と不安そうに呟く店主に医師らしき男性は頷いた。