Sin
さ、部屋のセッティング完了させるかと店主は腕まくりした。

食卓テーブルとロフトベッドを撤去し、リクライニングベッドを窓側に置いた。キャスター付きの細長いテーブルを足元にずらし、買ってきたシーツを広げる。

窓から明るい陽射しが入ってきて真新しいシーツの白に反射した。眩しくて目を細める。

ベッドの隣には本棚。高さが低いので必要な物を置くスペースにもなる。足側には一メートル程に成長した林檎の鉢植え。

「完成だな」

すっかり様子が変わった部屋を見回して店主は満足そうに頷いた。

「何から何までありがとうございます」

林檎も沢山、とジャックはかごを見遣る。沢山もらった事より彼の好きな物をお祝いに選んでくれた店主の気持ちが嬉しい。

「なぁに、なんもだ。あとは無事に帰って来るのを待つだけだな」

『りんちゃん』と書いた紙が貼ってある鉢植えを見つめ、店主はしみじみと呟いた。

「よく頑張ったよな、シン」


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