Sin
日が暮れた頃、施設長とセイジ、ナディアが来てくれた。熱を出したミーミルが自分も行きたいと駄々をこねて、宥めるのが大変だったと言う。

「お帰り、シン」

シンの顔を見て安心したのか泣き出してしまったナディアの代わりに、セイジがお祝いを手渡す。

みんなからの寄せ書き。書かれている名前を懐かしそうに眺めるシンの隣でセイジは最近のみんなの様子を話して聞かせた。

頷きながら話を聞いているシンの不自由な手を、涙目のナディアが大切そうにさすっている。

「よかったですね、ウェイド先生」

三人の様子に目を細めながら施設長はジャックに話しかけた。

「シン君も幸せそうだ」

そう言われて、ジャックは思わず小さなため息をつく。子ども達には聞こえないよう小声で、喜びに影をさす不安を口にした。

「……そうならいいのですが」

「何か問題でも?」

不思議そうに尋ねる施設長にジャックは言った。

「今まで散々理不尽な差別を受けて、沢山傷付いて、さらに自由も言葉も奪われて。その状態で生きて、シンは本当に幸せなんだろうか……と」

心配しすぎでしょうか、とジャックは苦笑する。

「先生は本当にシン君を大切に思っているんですね」

施設長は微笑み、ジャックの肩を叩いて続けた。

「それほどに愛してくれる“お父さん”がいるだけで、シン君は十分幸せなんだと思いますよ。彼の表情に、暗い影を少しも感じませんから」


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