Sin
シンは口をつぐみ、床に目を落とした。

揚げ足を取られたようで悔しい。どうせ売るつもりなくせに、この偽善者、と心の中で毒づく。

ジャックはふうと息をつき、シンに尋ねた。

「シンはなぜそう思うんだい?」

「そうってなんだよ」

「どうして僕が君を売るつもりだと思うんだい?」

“なぜ”、“どうして”。

なんでこいつはいちいち俺の考えてる事を聞くんだろう。シンは苛立ちを感じながら答えた。

「大人は嘘つきだからさ。優しくして油断させて騙すんだ」

「騙された事があるんだね?」

そのジャックの言葉に、シンは表情を強張らせた。


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