Sin
おかえり。

両手の指では足りないほど、何年も聞いたことがなかった言葉。自分が帰ってくる事を待っていてくれたと思いたくなる。

「おかえり」

黙っているジャックに聞こえなかったと思ったのか、シンはもう一度繰り返す。

思わず抱きしめそうになった。約束がなかったら迷わず駆け寄っていた。

「ただいま、シン」

ジャックが涙声で答えると、シンは無愛想にそっぽを向いて続けた。

「……腹、減った」

「あ、ああ、そうだな。今作る」

ジャックは我に帰り、着替えもせずに食事を作りはじめる。

お湯を沸かしている鍋を見つめていたら涙がこぼれた。シンに背を向けて涙を拭う。

シンが、おかえりと言ってくれた。初めて、おかえり、と。

彼との距離がまた少し近づいた気がする。あまりに嬉しくて視界がぼやけ、料理をしている手元が見づらかった。


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