Sin
泣き疲れたシンはソファーに寄り掛かっていつの間にか眠っていた。


『寒い……』

夢の中、シンは縮こまり震えていた。

冬の風は薄着の体に容赦なく吹き付け、意識が朦朧としていく。

『……母さんに、会いたい』

このまま死んじゃう前に、会いたい。

母さんに甘えたい。母さんの腕に抱かれて思い切り泣きたい。

『母さん……』

ねぇ、あれは夢だったんだよね?

母さんがあの男に俺を売ったのも、俺を要らないって言ったのも、全部全部夢だったんだよね?

ねぇ、母さん――


『シン』

寒くて気を失いかけたシンを温かい毛布が包んだ。

『か、……さん?』

目が開かない。体が動かない。

あたたかい温もりが冷たい風を遮り、シンを優しく眠りに誘う。

ね、母さんだよね……?

きっと、そうだ――


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