Sin
なぁ、ジャック。

こんな事されたら。こんなに、優しくされたら。

俺、信じたくなる。あんたの事を。

本当は甘えたい。本当は抱きしめられたい。そんな本心を、ぐいと引き出される。

あんたを信じて、今までの事全部話して、あんたに縋って泣きたくなる。

誰も信じないって、決めたのに。もう二度と裏切られたくないのに。

『シンが笑顔になれますように』

ぽた、と手帳に涙が落ち、シンは慌てて服の裾で拭き取った。

認めたくはない。でも。

シンは涙を拭ってジャックを見つめた。

……嬉しい。嬉しくても、人って泣くんだ。涙って悲しい時のためだけにあるんじゃないんだ。

シンはジャックの隣に座り、そっと肩に寄り掛かる。

自分の笑顔を望んでくれている人。自分の事を理解しようとしてくれている人。変人だけど安全で、安心できる人。

この人だけ。そう、ジャックの事だけは信じてみようか。


シンはジャックに寄り掛かったまま、明け方まで眠っていた。


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