Sin
普段ニコニコしているジャックが、ナイフのように尖った眼差しでこちらを見ている。

「シンを連れて来ることで本当にここが汚れるのかどうか。もし、汚れなかったらどうします?」

いつもはあまり自分から話さないジャックの挑戦的な言葉。お婆さんはふいと目を逸らす。

「……じゃ、僕はこれで」

返事が無いので帰ろうと立ち去りかけたジャックは、数歩歩いた所で不意に二人を振り返った。

「さっき、シンの事を札付きの浮浪児と言いましたね」

びく、と店主は後ずさる。

「言っておきますが、そうしなければ生きていけない状況に彼を追い詰めたのは、私たち大人ですよ。……だとしたら」

ジャックは当惑している二人を見てくすりと笑い、続けた。

「本当の“万引き犯”は一体誰なんでしょうね」


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