Sin
ジャックは泣きながら彼に謝り続けた。

もう少し早く家に着いていれば。

もう少し僕の足が早ければ。

もう少し僕に勇気があれば。

彼は死なずに済んだかも知れないのに。

ジャックは警察に事情を聞かれ、友人が親から虐待されていたと話した。その事を知っていたのはジャックだけだった。

しかし、遺体の損傷がひどくて事実を確認出来ず、彼が学校でいじめられていた事から、彼の死はいじめを苦に自殺したと片付けられた。

葬儀に行ったジャックは、彼の棺に縋って泣いている母親と人々に慰められている父親を見て、引いた。

白々しい演技だ。あんたたちが彼を殺したんだろう?

あんたたちが殴ったから、あんたたちが死ねと言ったから、だから彼は死を選んだんだ。

それを、今更。


その日、ジャックの心に生まれた深い怒りと黒い疑念。


“親”って一体、何なんだ。


< 89 / 331 >

この作品をシェア

pagetop