Sin
『お兄ちゃん、ごめんなさい』

謝罪から始まる手紙を読んだジャックはすぐに家を飛び出し、実家へ向かった。

『ごめんなさい。お兄ちゃんの所に手紙が着く頃、私はもうこの世界に居ません。

もう、耐えられないの。ごめんなさい』

続く文面には、義理の父親から関係を強要された日々の恐怖と、それを知った母親の態度の豹変に絶望した苦悩が書かれていた。

どうか、間に合ってくれ。

祈りながら実家についたジャックを迎えたのは、妹の葬儀だった。

また、間に合わなかった。また……。

ジャックは無力感のあまり、泣く事も出来なかった。

どうしてもっと早く話してくれなかった。

どうしてもっと早く気づいてやれなかった。

どうして一度も家に帰らなかったんだ。

死んでしまった妹に対する理不尽な怒りと、気づいてやれなかった自分に対する怒り。

そして――

「ジャック」

赤い目をした母親と、母親を支えている義父。

友人が自殺した日に生まれた疑念。抑え続けてきた何かが一気に爆発した。


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