Sin
「……なぁ」

ジャックは低い声で二人に言った。

「親は子どもを殺しても罪に問われないのか?」

二人は一瞬顔を見合わせた。

「ジャック、何を言ってるの? あの子は薬の服用を間違えて」

「答えろよ。親が子どもに暴行してもそれは犯罪じゃないってのか?」

怒りでぎらぎらしているジャックの目に気圧されて二人は黙り込んだ。

「また他人に罪をなすりつけて片付けるのか? あいつがどれだけ苦しんでいたかお前たちに分かるのか!?」

「ジャック、何を言ってるの? 一体何を」

「自分の胸に手を当てて考えてみろ!!」

思い当たる節があるのだろう、二人は目を逸らす。その反応に、後頭部を鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

「分かってるのなら自首しろよ」

ジャックは二人を鼻で笑い、立ち上がって言葉を吐き捨てる。

「まあ、あんたたちに少しでも良心があるならば、だけどな」




その日を最後に、ジャックは母親とも父親とも一切の接触を断った。絶対に許す事が出来なかった。

信じていたかった。“親”は子を愛してくれる存在なのだと。そうでない現実を目の当たりにしたからこそ余計に信じさせて欲しかった。

だからこそ、裏切られた悲しみからくる怒りの反動は大きすぎて。怒りは恨みに近いほど深く、黒く。

友人と妹の命を奪った“親”という存在自体に対する不信感。二人を助けてあげられなかった罪悪感。

それはジャックの心の奥深くに常に重たく沈んでいた。


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