1/2 〜危険なベターハーフ〜

シンデレラの匂い



仕事に戻った美羽ちゃんは
いつもの美羽ちゃんだった。

気丈に振る舞いながら、
机に任された付箋だらけの書類に
静かに目を通していた。


「魔法でもかけたんですか?」

いつの間にか目の前に
紗雪ちゃんが立っていた。

「いや?特に何も」


特別何かをしたつもりはない。

お昼ご飯の代わりに
ケーキを食っただけだ。


「魔法をかけるのはいいですが、
ちゃんと責任を持って
おかけになってください」



きっとあの千早のことだ。

そのまま素直にあの子が
食い下がるとは思わない。


むやみに美羽ちゃんに近付かない方が、美羽ちゃんのためになるということか。



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