世界の説明書
 気付くといつも通りの話し方になっていた。でも、もうそんなのどうだっていい。話始めた自分を止める事は出来なかった。この人を止めなければ、この人はここを出て行ってします。彼はここを出たら駄目だ。それにこの男もだ。彼は絶対にここから出してはいけない。しかし、ここで一生は、生きていけない。ここで殺すのか。死ぬのを待つのか。彼に任せるのか。あ、どうしたんだろう、彼が部屋を出て行こうとしている。駄目なのに、絶対に駄目なのに。
彼は何も言わず、立ち上がり、縛り付けられている二郎をそのままに、思いコンクリートのドアを開けた。僕も一緒にドアの隙間から外へでた。外へ出て、細い鉄製ののドアノブを握った瞬間に、それは根元から音も無く折れた。その瞬間、ドアはコンクリートのトンネルの一部となり、何処が入り口なのかすら分らなくなった。折れたドアノブは既に腐敗しており、焦げた秋刀魚の様な表面が、人に握られる事を拒否していた。
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