世界の説明書
原型をとどめないほどに吹き飛んだ肉片は、もはや彼ではなかった。やっぱり、彼にはこんな最後が待っていた。だから外にでたら駄目だって言ったはずなのに。あれ程言ったのに。でも彼はこれで止まった。もう、あんな事をする事も無い。もう誰からも、何も文句も言われないし、馬鹿にもされないだろう。自分か正しいかどうかと、一人誰の力も借りずに悩む必要も無い。誰かに必要とされる必要も無い。もう、何も要らなくなったのだ。誰かを傷つける必要も無くなった。静かに、一人、で好きな所に行けばいい。
彼の上には彼の家にあったのと同じ青いビニールシートがかけられた。今まで寒さから、風雨から、彼と彼の母親の身を守っていたビニールシート。公園の中で激しく異彩を放っているのに、自然の中で科学の色が必死に隠そうとする世界の陰部。気付けば、誰の目にもブルーのシートは見えなくなっていた。これほど明るい色彩の物が、人々には見えなくなってしまう。それじゃ、僕なんて見えるわけが無い。見えないか。でもさっき、初めて人と話した。人に自分の気持ちを伝えるのってすごく楽しいし、でも、緊張する。相手が自分を否定しないか、否定された自分は存在できるのか。いろんな事を考えながら、でも話した。だって、分って欲しかったから。もう、あんな事をして欲しくなかった。もう、誰かが悲しんでいるのを見たくは無かった。心が凍えるような人々の叫び声を聞きたくなかった。だって、僕が見ていて辛いから。僕が見たくないから。見たくないけど、見えてしまうから。やめて欲しかった。誰のためでもない。自分の為にお願いしたんだ。でも、彼には届かなかった。彼は最後まで選択を間違えた。何かが出来ると思い込むと何でも出来る様な気がする。でも何かの何が、一体何なのか、答えは永遠にわからないだろう。彼は何かを手に入れたまま、それが何かを分らないまま、セカイの意味をそれで計ってしまった。怒りという感情。我慢し続けた果てにたどり着いた、セカイを変えてもよいという自分勝手に己に与えた権利を一瞬楽しみ、そして、それによって自らも殺された。
彼の上には彼の家にあったのと同じ青いビニールシートがかけられた。今まで寒さから、風雨から、彼と彼の母親の身を守っていたビニールシート。公園の中で激しく異彩を放っているのに、自然の中で科学の色が必死に隠そうとする世界の陰部。気付けば、誰の目にもブルーのシートは見えなくなっていた。これほど明るい色彩の物が、人々には見えなくなってしまう。それじゃ、僕なんて見えるわけが無い。見えないか。でもさっき、初めて人と話した。人に自分の気持ちを伝えるのってすごく楽しいし、でも、緊張する。相手が自分を否定しないか、否定された自分は存在できるのか。いろんな事を考えながら、でも話した。だって、分って欲しかったから。もう、あんな事をして欲しくなかった。もう、誰かが悲しんでいるのを見たくは無かった。心が凍えるような人々の叫び声を聞きたくなかった。だって、僕が見ていて辛いから。僕が見たくないから。見たくないけど、見えてしまうから。やめて欲しかった。誰のためでもない。自分の為にお願いしたんだ。でも、彼には届かなかった。彼は最後まで選択を間違えた。何かが出来ると思い込むと何でも出来る様な気がする。でも何かの何が、一体何なのか、答えは永遠にわからないだろう。彼は何かを手に入れたまま、それが何かを分らないまま、セカイの意味をそれで計ってしまった。怒りという感情。我慢し続けた果てにたどり着いた、セカイを変えてもよいという自分勝手に己に与えた権利を一瞬楽しみ、そして、それによって自らも殺された。