世界の説明書
静かな、小さな灯火が名子の言葉によって生まれた。それが二人の悲しみに沈んだ心をゆっくり暖め始めた。まだ、頼りなくてすぐに消えてしまいそうな灯火。だけど、何よりも暖かくて安らぐ光だった。時間は意味を無くし、風は黙りこんだ。そして世界の夜が明けた。
「な、名子、パパこそごめんね。ママがいなくなって、本当に、本当に、心がおかしくなってしまったんだよ。悲しい現実を受け止められなくなって、心がどんどん鈍くなって、気付けば大切なことすら見えなくなっていたよ。名子がそんなに悲しんでいるのも、自分がこんなに悲しいって事も。何もかもが白昼夢の中で、白い光りの中で昔話が消えないように必死になっていたんだ。名子の目が見えなくなった時も、明子が死んだ時も、自分はその場には居なかった。その理由を探しても、最後には俺が全ての原因なんじゃないかって、自分の家族すら守れない自分の弱さにいつも怒っていた。そして、気付けば、何に対しても怒って、それで疲れて無関心になって。名子、本当にごめんね。パパを許してくれ。もうこんなに泣いてるパパ見たら、頼り無いと思うかも知れないけど、正直、パパもママがいなくて毎日悲しいんだ。名子もパパの前では一回もママの事で泣いた事無いもんな。二人で約束したもんな。ママの話をする時は笑顔だってな。パパが先に約束を破って、本当にごめんな。名子は本当に良い子だよな。俺達の大事な名子だもんな。ごめんな。」
正人も、名子も泣きながら笑っていた。外で誰かがくしゃみをした。
「な、名子、パパこそごめんね。ママがいなくなって、本当に、本当に、心がおかしくなってしまったんだよ。悲しい現実を受け止められなくなって、心がどんどん鈍くなって、気付けば大切なことすら見えなくなっていたよ。名子がそんなに悲しんでいるのも、自分がこんなに悲しいって事も。何もかもが白昼夢の中で、白い光りの中で昔話が消えないように必死になっていたんだ。名子の目が見えなくなった時も、明子が死んだ時も、自分はその場には居なかった。その理由を探しても、最後には俺が全ての原因なんじゃないかって、自分の家族すら守れない自分の弱さにいつも怒っていた。そして、気付けば、何に対しても怒って、それで疲れて無関心になって。名子、本当にごめんね。パパを許してくれ。もうこんなに泣いてるパパ見たら、頼り無いと思うかも知れないけど、正直、パパもママがいなくて毎日悲しいんだ。名子もパパの前では一回もママの事で泣いた事無いもんな。二人で約束したもんな。ママの話をする時は笑顔だってな。パパが先に約束を破って、本当にごめんな。名子は本当に良い子だよな。俺達の大事な名子だもんな。ごめんな。」
正人も、名子も泣きながら笑っていた。外で誰かがくしゃみをした。