世界の説明書
夏の公園のテントの中の温度は地獄のようになる、その為、彼の母はせっかく元気になっても暑さでまた体調を崩していた。その事を嘆いていた彼はどうにかして涼の取れるものを探し歩いた、時には隣の町まで行きごみ箱を漁っていた。母親の存在だけが、彼の絶望を支えていた。二郎はそれを知っていた。飴が無くなった時に、彼は母親にも泣きつき、「かあちゃん、かあちゃん」と叫ぶ事で安心していた。死にたがるのではなく、生きようとした。彼は二郎と飴玉の安心感にまだ、心底服従していなかった。飴玉と二郎の言葉で破壊された彼の心に一点だけ人間の尊厳が残っていた。それは家族に対する愛情だった。二郎はそれを憎み、破壊する事で、彼の心を完全に支配しようとした。そして、二郎は最新の小型扇風機を持って彼のテントに再び現れた。
「これ、おばあちゃんへのプレゼント。あげるよ。少し高かったけど、使ってね。電池も買ってきたから、ほら」
彼の鈍った頭の中が痺れた。気付くと涙が出ていた。そして、「ありがとうございます。」と心からの礼を述べた。
二郎の手には一枚の説明書が握られていた。
*注意* 風力が強いため長時間同じ場所に風をあてたり、顔から最低でも1メートルは離してご利用ください、乳幼児に向けて使用しないで下さい*
珍しく公園で遊んでいる子供がくしゃみをした。
「さあ、早くおばあちゃんのテントに行こうよ」
二郎は青い小さな長屋風のテントに入ると何も言わず彼の母親の顔の直ぐ上に扇風機を取りつけた。
「これ、おばあちゃんへのプレゼント。あげるよ。少し高かったけど、使ってね。電池も買ってきたから、ほら」
彼の鈍った頭の中が痺れた。気付くと涙が出ていた。そして、「ありがとうございます。」と心からの礼を述べた。
二郎の手には一枚の説明書が握られていた。
*注意* 風力が強いため長時間同じ場所に風をあてたり、顔から最低でも1メートルは離してご利用ください、乳幼児に向けて使用しないで下さい*
珍しく公園で遊んでいる子供がくしゃみをした。
「さあ、早くおばあちゃんのテントに行こうよ」
二郎は青い小さな長屋風のテントに入ると何も言わず彼の母親の顔の直ぐ上に扇風機を取りつけた。