世界の説明書
「分らないよう、でも頭から血を流して、いっぱい泣いてた、でも最後に救急車に乗るときは静かだった。動かなくなってた。そして、その子の母親が泣きながら叫んでて、周りのみんなも泣いていたんだ。」

「動かなくなっただって、まさか、、それで、どうなったの。」

「白くて赤い光のある大きな車が来て、みんなをどっかに連れて行ったんだ。みんなすごく怯えた顔をしていたよ。ああ、僕のせいだ、、僕のせいなんだ、。」

「大丈夫、あなたのせいではないのよ。しょうがなかったのよ。あなたがいくら気を付けていても、向こうには通じないのだから。でも、あれほどあの公園に行ってはいけないと言ったでしょう。あそこは人がいっぱいいるし、あなたみたいな小さな子供もいっぱいいる。それに野良ネコだってたくさんいるのだから。ネコは私達をいつも威嚇してくるのを知ってるでしょう。なんで約束を守らなかったの。」

「ご、ごめんなさい、でも僕どうしたらいいんだろう。あの子、大丈夫かな。僕いつもあの子が朝、あそこに来るの知っていたんだ。いつも坊主頭のの男の子と手をつないで走ってくるんだ。でもみんなすぐに黄色い大きなバスに乗ってどっかに行くからら公園で遊んでいても平気だって思っていたんだもの。でも今日は野良ネコがずっと追っかけてきて、何度も引っ掻かれて、もうどうしようもなくて、必死に逃げていたら、後ろからあの子がぶつかってきたんだ。」

「解っているわ。あなたがそんな事を、わざとする訳ないもの。でもその子、心配ね、どこの病院に運ばれたのかしら。この辺りだとあそこの大きな病院かもしれない。後で、ママが様子を見に行ってくるから、あなたはここで今日は大人しくしていなさい。もう、人がたくさんいる所に行っては駄目よ。あなた自身も危険な目に遭うのだから。」

「ごめんなさい。 ただ、みんなの顔が見たかったんだ。だっていつも一人で遊んでてもつまらないもの。ママ、僕はいつまで一人で遊ばなきゃだめなの?」

「坊や、 あなたは一人じゃないでしょ、ママがいるでしょ、ママはずっとあなたと一緒にいるからね。ほら、もう泣かないで。あなたは優しい子ね。そんなにあの子が心配なの。大丈夫、きっと大丈夫だから。」

「ママ、ずっと一緒にいてよ。僕、一人は嫌だよ。」

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