MADE IN BLUE -ソラ・ニ・ナリタイ-

俺たちは狡猾だ。
夏期講習で力をつけた同学年の奴等が怒涛の追い上げをしてきても、俺たちの順位に変動はなかった。
きっと、頭が柔らかくないとゲームの主人公にはなれないのだ。


夏が終われば秋が来る。
それも過ぎればあっという間に冬が来て、世の恋人たちが浮かれる神の子の聖誕祭だ。


朝早くからリナと待ち合わせをして、二人で電車に乗った。
クリスマスに受験をぶつけるとは野暮な学校だ。受験生に浮かれている暇は無いんだという大人の策略が見え隠れしているのを俺は見逃してやらない。


「デートで受験しに行くなんて思ってなかったわ」


リナの言葉に俺は笑った。


「そういえば、朝のニュースでタスクくん観たよ」


「あぁ、あのツリーの点灯式?クリスマスになった瞬間のでしょ?あのイベントの後、スタッフさんたちと飲みに行ったらしくて、私が起きた時には酒くさいままソファで寝てたわよ」


妹の受験当日だっていうのに。


タスクくんらしい。


俺たちは今夜、そんなタスクくんと三人でクリスマスパーティーをするのだ。
受験が終われば、タスクくんの手料理が待っている。


「そういえばタスクくんって料理出来んの?」


「なんでも簡単にこなしてしまう嫌味な男よ」


うーん、確かに。
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