甘い記憶
遅刻
「お母さん!!なんで起こしてくれなかったの!?…もぅ遅刻だよぅ〜…」

「何回も起こしたわよ〜 あんた全然起きないから,お母さんあきれて仕事の準備してたの!!」

「…うぅっ」

「いいから早く学校に行きなさい!本当に遅刻しちゃうわよ?」

「…は〜い。」

玄関のドアがバタンッと音をたてる。

桜は急いで学校へと向かった。

−藤岡 桜−

今年の春に入学したばかりの高校1年生。
入学したばかりだがすぐに友達ができ,楽しい日々をおくっている。

桜は背が低いうえに,顔も幼いため年下に見られることが多い。
中学を卒業してすぐに染めたピンクブラウンの髪。
みんなに”その色可愛い”と言われるのが今の自慢だ。

♪キーンコーン…♪

学校の校門にやっと着いたところでホームルームのチャイムが学校中に鳴り響く。

「ぇえ!?…ちょっと待ってよ〜!!」

桜は最後の力を振り絞り,急いで教室へと向かった。




「…ハァ…ハァ…なんとか教室にたどり着いたけど…やっぱ先生いるよ〜 クラスのみんなもいっぱいだし…入りずらいよ〜」

ガラッ

「−−!!」

桜の気配に気が付いたのか,教室の中にいた先生が扉を開けた。

「藤岡!またお前か!!…はぁ…いつになったらお前の”遅刻病”が直るんだか…。」

「…すいません…。」

桜は入学式の時からずっと遅刻している。

「…もういい!自分の席に座りなさい。」

「…はい。」

桜はとぼとぼと自分の席へと向かった。

『はぅ〜…朝から最悪なことばっかだよ〜…』


−休み時間−

「はぁ〜 やっと1時間目終わった〜…」

1時間目が終わり,桜はなんだか疲れきった様子。

「さ・く・ら〜♪♪どうしたのぅ?浮かない顔してぇ〜?」

「あ,杏菜かぁ いやぁ〜今日は最悪な日だなぁ〜と思ってさ…」

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