愛してよダーリン

新たなけじめ





帰りの電車は眠くて眠くて、途中まではなんとか頑張って起きてたんだけど、


どうやら睡魔に負けてしまったみたいで、あたしは樹の肩に頭を乗せて眠ってしまった。




最後の最後まで、あたしばかりが楽しい思いをさせてもらってしまった。




本当は樹に楽しんでほしかったし、樹にとって良い思い出にしてほしかったのに。




駅から家まで歩いてる間は、本当に他愛もない会話が楽しかった。




あたしばかりが話してるだけだったけど、でも樹はいつもより優しくて相づちを打ってくれた。



聞いてくれてるんだ、って安心感があった。





あたしたちの家の前に着くと、樹の顔が自然と近づいてくるのが分かった。




目を閉じると樹の唇があたしの唇に触れるのが分かって………


この感触も少しの間は忘れなきゃいけないんだ、って思うと胸の奥がチクンとした。



.
< 122 / 426 >

この作品をシェア

pagetop