愛してよダーリン
新たなけじめ
帰りの電車は眠くて眠くて、途中まではなんとか頑張って起きてたんだけど、
どうやら睡魔に負けてしまったみたいで、あたしは樹の肩に頭を乗せて眠ってしまった。
最後の最後まで、あたしばかりが楽しい思いをさせてもらってしまった。
本当は樹に楽しんでほしかったし、樹にとって良い思い出にしてほしかったのに。
駅から家まで歩いてる間は、本当に他愛もない会話が楽しかった。
あたしばかりが話してるだけだったけど、でも樹はいつもより優しくて相づちを打ってくれた。
聞いてくれてるんだ、って安心感があった。
あたしたちの家の前に着くと、樹の顔が自然と近づいてくるのが分かった。
目を閉じると樹の唇があたしの唇に触れるのが分かって………
この感触も少しの間は忘れなきゃいけないんだ、って思うと胸の奥がチクンとした。
.