愛してよダーリン

電話の向こう側





“1難去ってまた1難”って言葉がある。



今の状況にはその言葉がぴったりだと思う。



まさしく更なる1難が来たところだ。




「あ、隠してややこしくなるの嫌だから最初に言っちゃうね?」




好感を持てたし、仲良くなれそうな女の子の莉加ちゃんが新たなライバルらしい。




「あたし、樹のこと好きなの」




あたしの耳に顔を近づけ、あたしたち2人以外には聞こえないくらいの小さな声でそう囁いた。




他の女の子から1番聞きたくなかった言葉。

もうライバルは欲しくない。

不安になるのは疲れた。



それに、どうしたらいいのか分からない。




好きになっちゃったのはしょうがないことだし、無理に嫌いになれるものでもないことは分かってる。




だからこそあたしがどうこう言えるわけじゃない。




でも樹を渡せるでもない。

本音は好きになってほしくない。

だって、あたしの樹だから。




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