いばら姫
――― ゴスペルを取り囲む群集の中
人が大勢いても
誰も他人を見ていない
そんな中で俺は
アズを抱きしめ
キスを繰り返す――
最初は体を強張らせて
かなり抵抗していたけど
"周りにバレるよ"という言葉と
――こういう事なら
俺のが うわ手で―――
たった一人の男しか知らない
しかもその男のゴシップに
不安定になっている
そんな女の子の虚勢を崩すのは
かなり簡単な事
―― 力の抜けたアズを
ダウンの中に包み込んで
静かに抱きしめた
アズは唸るみたいな
でもかなり負け気味の泣き声で
「…物理攻撃は卑怯だ…」と
両手で俺の腰を握って
頑張って立っている
「…通常攻撃しかしてねえぞ
………けど かなり本気でやった」
そう笑うと
アズは胸の中から顔を起こして
潤んだ瞳で、睨み付けて来た
「…キスくらいで
そんな顔してんなよ
外国じゃ挨拶だろうが」
「…こんなやり方しないもん」
「…どんなやり方よ 」
アズはその問いに俯いて
真っ赤になって
答えない
「………アズ 楽にしてやるよ」
「……楽… ?」
「 ………嫌か 」
―――――― "エクレシア"から
引きずり降ろす