いばら姫









光に包まれ
真っ白になったステージ

ステージ前から
花火が一気に打ち上がった

客席は歓声と
少しおかしくなったみたいな
低い絶叫を挙げる





―――― 歌声だけで存在していた
聖女は消え


自らの風に踊る短い銀髪
ガーゼシャツを体に張り付かせて
黒いジーンズの足元は
目の前の、アンプの上



………こんな声、知らない

こんな声を出すアズを俺は知らない






曲を聞く余裕や
楽しいとか

カッコイイとか
上手いとか

そんな事は、一切吹き飛ばされて

相手が『アズ』なんだって事も
全て忘れて


―――俺の中の『アズ』は
一気に踏み潰されて




無くなってしまった







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