いばら姫
夜半
――― 無人の "ほしわたり"に着くと
改札を出てすぐのバス停に
黒い麻の長袖、
ジーンズの灰谷が腰を降ろし
静かにそこで、待っていた
周囲は突然民家で
コンビニがぽつんと、一件あるだけ
「… アズは 」
『… 部屋で休んでる 』
「―…アズの様子が変って?」
『… アズが少し変なのは
――― 今年殆ど、まともなオフが
無かった事からの疲労もあるけど
……『Azurite』が大きくなってから
周りに、取り入ろうとする
気持ち悪い奴らが増えて来て…
でもこういうのは
アズ、新宿で生きて来て馴れてるし
空哉さんもいるから、平気
―― 明らかに
モードが変わって来たのは最近
…… 野音が近付いて来てから 』
「……どんな風に 」
『…その前に
本陣武将達が、勢揃いして
貴方の事 待ち受けてるけど
どうするの? 』
「……青山は ? 」
『…ペンション
貴方が来る事は言ったよ
池上さんは、
俺と一緒に車で来てる 』
視線を飛ばした先には
古い型の、キャンピングカー
灰谷が腰を上げると
車から、ゆっくりとした
エンジン音