いばら姫
黒い雨が画面を埋め、
場面転換
暗闇の中を一匹のアゲハ蝶が
画面を覆う様に
光る燐粉を振り撒き舞って
とまった葉の先の向こうには学校の図書館
――― 顔から上は
画面からアウトされた女子学生が
男子学生の手に起こされて目覚める
その手元には飾り模様の付いた
厚い表紙の本
女子高生は、立て掛けてあった楽器を持ち
数コマだけ
剣と楽器のオーバーラップ
画面は黒染めになり、白抜きで
"…どっちが、ホントの世界?"と
女子高生の首を傾げる動きと台詞
白く細い手の切り傷を見て
男子学生は
"本で切ったんだ" と
ポケットからハンカチを取り出して
彼女の傷口に巻く―――
真っ白なハンカチは霧に代わり画面は戦場
朝もやの、森の中
川に流されそこに辿り着いた
満身創痍の女剣士
木影からの気配に剣を構え
戦おうとする
――現れたのは
胸から下だけ写された
見るからに強そうな
――――…黒い甲冑の男
音は無く、口だけの動きで
"…やっと見つけた…"
剣士は瞳を見開き
駆け出した男は
愛しそうに、彼女を抱きしめた
そして彼女は剣を捨て
そのキスを受ける――――