いばら姫




JFK空港からシャトルバスに乗り
実際マンハッタンに着いても
何だか現実感が無い


―― 確かに
グレーの空からは雪が降って来ていて
そのたもとを目差すみたいな
見上げるばかりの高層ビルと

信号の色をあまり見ないで横断歩道を渡る
服の趣味も様々な人々


…それはまるで
映画のセットを見ている様な感覚




自分が
何かのエキストラになったみたいな
奇妙な気持ちのまま、街を見渡した


まだ何処に行くかも判らない状態で
ただ吉田さんに言われた様に
バスの着いた地下鉄駅の前の
赤いホットドックスタンドの側に立つ



灰谷は携帯を出して
誰かと連絡を取り合っていて

――元々 灰谷は日本の景色よりも
こんな風景の中に
よく溶け込むのかもしれない






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