いばら姫
…… 案の定
一番奥の個室の天井近くの
小窓が開いている
アズは身長はあるけど
体自体は華奢だから
充分に通れる広さ
…下まで結構高さがあるのに
「…ここ
表からだと何処になるんだ…?」
水貯めに足をかけて
窓に手を這わす
窓からすぐ外は
隣のビルの壁
隙間は1メートルも無い
水貯めは
ガコガコいっていて不安定だし
あまり乗っていると壊れそうだ
「…くそ 俺じゃ無理か…? 」
――― 窓に肩がつかえる
元の個室の床に着地して
ホコリだらけで真っ黒になった
手を掃った
……こんな場所から
抜け出したって事は
この後 自由な時間が無いのか
それなら俺はすぐにでも追って
アズと話をしなくちゃ…
そして
―――― そうまでして
抜け出したかった理由
すぐに予想は付いた
だけど
俺がウダウダしている間にも
アズは走ってる
―――― 間に合わなくなる前に
「…こっちの肩 外すか 」
高校の時
ホッケーの練習で、脱臼して以来
脱臼癖がついて
左肩は自由に外せる
……少し痛いけどね