あたしだけのお医者さん





ゆっくりとベッドに入り、体温計を脇に挟んだ。






ピピッ






しばらくして体温計が鳴った。





脇から取り出して、表示窓を見る。






うそ………


「39度2分…」





どうしよう、夜までに下げなきゃ…




薬飲まなきゃ……




そこまで考えて、はっとする。





「薬、ないんだった…」





この家に、薬はない。





春人はお医者さんだから、あたしが具合悪くしたときは、診察して病院から薬を持ってきてくれた。




まさかこんなことになるなんて思ってもみなかったから、薬を買っておかなかったことをすごく後悔した。







とりあえず、水飲んでお昼まで寝よう…








本当は、何か食べるのが一番いいんだけど



吐き気がして食欲がなかった。






あたしは、夜までに熱が下がっていることを願って、眠りについた。











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