あたしだけのお医者さん





寝ては起きての、浅い眠りを繰り返して





どんどん時間は過ぎていった。








11時半



食欲はないけど、早く治らないと困る。



春人に迷惑かけたくない。





小さなヨーグルトを、必死に食べた。





それでも半分も食べられなかったけど…





ベッドに入ってもう一度、熱を計る。





計ってる間待ってるのも辛くて、目の上に腕を置いて待つ。



絶対だめ。

春人にだけはバレたら絶対だめ。







ピピッ






そんなことを考えていると、体温計が鳴った。






お願い、下がってて!








「………39度5分…」



あたしの必死な願いも届かず、熱は上がる一方だった。






「グスッ………」




やばい、なんか泣けてきたよ……






こんなんだから、春人に見捨てられちゃうんだね……。






春人に釣り合う女の人になりたくて、いままで頑張ってきたつもりだった。







でもそれは、
春人を困らせただけだったんだ…


春人には重荷だったんだ…




何でもっと早く、気づけなかったんだろう。





自分のことしか考えてなかったあたしはどれだけ惨めなんだろうか。









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