桜雪、散る

ハッピー・バースデー

駅前の大きな時計は、午後10時35分を指していた。


家に着くのは11時過ぎになる。


よかった。昨日より1時間も早くに帰れる。


目がぼんやりして、遠くの物がよく見えない。


頭にガンガンと音楽が響く。


いつからか、外に出るときはヘッドフォンが手放せなくなっていた。


耳を塞いでしまえば、街の喧騒も人の声も聞こえない。


自分が、浮いている存在だということに


目を背けることができる。
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