桜雪、散る
人の少ない路地裏。


このうるさい街で唯一僕が落ち着ける場所だ。


いつもどうりの道を行こうと、僕は何も考えずに歩く。


「…?」


異変を、感じ取った。


耳をすませてみる。


―歌…?


歌が、聞こえる。


ヘッドフォンから発せられるものではない。


僕は思わずヘッドフォンを外して辺りを見回した。


声は近くからするのに、辺りに人はいない…


「ニャー」


「!!?」


驚いた。思わず尻餅をつく。


いかにも路地裏に居そうな、薄汚い野良猫が足元にいた。
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