【完】宛先不明のラブレター
自分でも酷いことを言っていると思った。
気持ちを伝えてくれた相手に、真剣に向き合わない。否定する。
そのことが、相手に対してどれだけ失礼なことか、俺はよくわかっている。
…わかっている、のに。
俺はその最低なことを、目の前にいる彼女に、している。
果枝ちゃんは俺の言葉を聞いて、俯き、スカートをぎゅっとにぎりしめていた。
そして、勢いよく顔を上げて、俺と目を合わせた。
「あたしの気持ちを否定する権利なんて、あたしにしかない!」