【完】宛先不明のラブレター


聡は呆れた顔をしながら、あたしの手を掴んで簡単に自分の鼻から放した。

そしてその手を、そのまま重ねた。




「すねないの。」

「すねてない」

「…そういうことにしといてあげる。」

「…すねてないから」

「はいはい」


呆れたように、困ったように、聡は笑った。


…うまくいかない。

そんな顔をしてほしいわけじゃないのに。




「…果枝?」

「っえ、」

「もう時間。」


そう言われて、慌てて時計を確認するともう9時になりそうだった。

…タイミングが良いんだか悪いんだか。


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