大空で駆ける


きっと
バーカって笑ってるんだろうな




「なに笑ってんだよ!人が必死に…あーもう良いよ!お前はそーゆー奴だったな」



ため息混じりに言う千尋



「千尋?」



「ま、抜け駆けはよくねーよな!争介の奴が転校したからって…アイツも同じくらい大切だもんな!」




………
そっか、転校したってことになってるんだ



ありきたり(笑)




あーもう!
争介は最後まで争介らしいね!
かっこいいよ!(笑)





「さ、教室戻ろうぜ!」



笑いながら屋上を出て行こうとした千尋の足が止まり
アタシを振り返った




「夕佳?」




アタシは何故か空を見上げていた
何故か、争介がいるような気がしたから




「千尋…」



アタシ、千尋も争介も同じくらい好きだったんだ…




「ん?何か言ったか?」




千尋はノブに手をかけ
こっちを振り向いていた



「何でもない!」



走って千尋の方に向かった



アタシ達を見下ろす大きな空は
アタシが駆けた大空とは少し違う気がした
でも、それは…
あの時より少し時間が経ったからだよね











ーENDー
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