大人になれないファーストラバー


少し間を挟んで「だから…?」、と静かに問うと。






「もう少しだけ頑張ろうよ。橋本くん。」





と、なんだか(仮)を取って"親友"と呼んでもいいくらい、今まで見たことのないような男らしい顔で言った。




「病院の息子の特権を使って調べてみたところ、蕾ちゃんより一秒早く橋本くんの方が先に生まれてるんだよ。」




ずっと一緒に生まれたものだと思っていた事実が、その言葉でくつがえる。





「橋本くんの方がほんの少しだけ…お兄さんなんだよ。」





葉山は優しく穏やかに微笑んだ。

もともと顔はいいんだから、いつもそうしてればいいのにって思う。



それから葉山に肩を叩かれ、俺もようやく笑顔を作ることが出来た。







そして。
夏の暑い日差しと葉山に背中を押されるようにして、俺はその場から立ち上がった。





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