大人になれないファーストラバー
そいつのモデルをやるまでは、女になりたいなんて微塵も思ってなかったんだ。
三度目に出会うまでにそんなに期間は挟まなかった。
またまた電車の中で会って、その時に無理矢理海に連れてかれたのがきっかけ。
夏の潮風の吹き付ける中、海に放り込まれた。
水しぶきが立って、人が驚いた顔してるのをそいつはカシャカシャ撮ってた。
「ふざけんなっ」
今まで何も喋らずにいたが、さすがにぶち切れた。
水平線を目指すようにそいつは海水を掻き分けてあたしから逃げる。
両手でカメラを頭の上に避難させながら。
無我夢中で追いかけて、ついに爪先立ちしてやっと顔を出せる深さまでやってきてしまった。
そいつはと言えば、あたしより背があるからまだ余裕そうにこっちを見てる。
カメラを通してあたしを見つめてるそいつ。
イラッときてまた追いかけようとすると、ズキッという痛みが足に走った。