大人になれないファーストラバー
「…っ」
連続して聞こえていた雷の音が一瞬止み、その時ふいに声が漏れてしまった。
そしてまたすぐに雷が轟く。
もう一度雷が止むと、今度はか細い声が部屋の奥から微かに聞こえた。
「…サク?」
呼ばれた瞬間、溢れ続けていた涙がぴたりと止まる。
「サク、そこにいるの?」
雷の妨害を受けながらもその声はしっかりと耳に届いた。
蕾の足音がドアの向こうに近づいて来る。
「サクっ」
声が聞こえると同時にドアノブが動いた。
顔が見たいよ。
手に触れたいよ。
けれど、口から出たのは正反対の言葉。
「開けるな…っ」
銀色に光ドアノブが下に下がり、そこで動かなくなる。
「どんな顔していいか、分からないんだ」
拒絶しているわけではないと、そう伝えたかったけれど、うまく言葉をつむげない。