大人になれないファーストラバー
自分のより2倍くらい太い腕が掴みかかってきて。
支えきれずにふらつき、片足だけ一段上に乗り上げる。
「こんの髪色はお洒落染めか!? それともナチュラルカラーかっ」
「お洒落染めは白髪染めるやつだってっ」
「うっさいのおっ どっちにしてもこんの色じゃ校則違反だべなっ」
むしるかのごとく俺の髪を引っ張り上げるタケちゃん。
頭皮まで一緒に引っ張られて、自分の目が今までにないくらいつり目になってる気がした。
負けじとタケちゃんの胸ぐらを掴む。
あの紙は実はタケちゃんが入れたもので、ほんとにケンカの申し込みだったんじゃないかって錯覚し始めた。
2、3本どころじゃなく。
もはや一部ハゲができそうなくらいお互いの髪を抜き取った瞬間。
タケちゃんの後ろに誰かが現れて、
「遅れてごめんっ ちょっと委員会の集まりがあったん…」
ハニカミぎみだったそいつの顔が、取っ組み合ってる俺たちを見て一瞬にして氷ついた。